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恐い方たちと昼食を取る事に。

仕事、柄お客さんを選べないサービス業をしている。


ある日の事、現れた方がどう見ても普通じゃなかった。

蛇皮の靴、スラックスとジャケットは何処で売っているの?と聞きたくなる様な柄。

『でたァー遂に来たか』と思っていたら、以外に丁寧語を使う方で、それが逆に恐かった。

ちょうどお昼間近だったので、この仕事が終われば昼飯だなと思っていたのだが.........。


「そば食って来るから、少し待ってくれるか?」と言われ、『ハイ分かりました、ここで待ってます』と答えるしかなかった。

『まいったなァー。どうなるんだろう、これから...』と思っていたら

すぐに、そば屋から恐い人が出てきた。そして真っ直ぐに私に近づいてきた。

「おまえさん、昼飯食ったんか?」『まだですが、お弁当がありますので。』と断ったつもりだった。

「弁当は夜に食えるだろう! おまえさんの分も頼んだから来てくれるか?」と少しドスが効いた。

『わ、分かりました』と言うしか無いのであった。


店に入ると、左側のテーブルにサラリーマン風の方三人が座っていた。

我々は右側のテーブルに座る事になった。

「天ざるもう一つ追加だ!」『やっぱり!頼んでねェー』と思いながらも席に着く私。

パンチ佐藤似の若手が私の隣に、兄貴分が私の対面に座った。

店の中は異様な不意陰気に包まれ、サラリーマン三人はそれぞれに新聞や雑誌を広げてはいるが、読んではいない。チラチラとこっちを伺っている。

間もなく、お二人に天ざるが運ばれてきた。

「ご馳走になります!」とパンチが大きな声で言うと「あ~」と兄貴が答えて、ずるずる食い始めた。

彼らが半分以上平らげた頃、私の天ざるが来た。『イヤなタイミングだなァー。早く食べなきゃ』と

思ったが、喉に詰まって入らないので、水で流し込んだ。

私が食べ初めてすぐに、彼らは食べ終ってしまい、ますます焦ってくる。

コップの水が無くなりかけたので『すみません!水下さい』とむせながら頼んでみた。

何の返事がなっかた。と思ったら「お水いただけますか!」とドスが響き渡った。

超特急で水が運ばれて来て、すべてを流し込み完食となった。

あれほど そば が喉を通らない経験はこれからも無いだろう。

時折サングラスの向こうから、蛇の様な眼差しを感じながら食事をした事も。


おそらく、あの天ざるは美味しかったのであろう。

それを感じる余裕が、私には無かったのであった。 カエルの気持ちが少しだけ解った様な気がした。